やさしい世界のはじまりに自分がなる(「生きる技法」読書感想文)
もう少し早く読みたかったと言うべきか、今読むからこそ理解できるのかはわからないけれど、この数年間で、一生懸命に心がけて、自分を変えてきた考え方と、かなり近しいことが分かりやすく書いてあります。
これは本からの引用ではありませんが、私はこの本のメッセージをこうだと考えました。
もし私が自分のありのままに対して誠実でなければ、他者に対して誠実たりえない。
そうでない限りは、つまり、自分にウソをついていれば、私は「不誠実な関係づくりに貢献している」という考え方です。
その関係づくりは次から次へと連鎖しますから、私は「自分に嘘をついて、本当の自分自身ではない仮面を身につけながら生きなくてはならない社会」をつくっているのです。
その中で、私はさらに自分を偽ることを繰り返さなくてはならないことになります。
そうすると、ありのままの自分自身、なりたい自分は、何枚もの仮面の奥へ、奥へと埋没していきます。
いつしか、「本当の自分」が見えなくなります。
それは、私にとっては、生きる意味や価値の喪失を意味します。(本の中では、ナルシシズムの搾取の対象として、いわば、都合のよい家畜のように扱われるようなことだと書いてあります)
この本には、その負の連鎖を断ち切り、正の連鎖を起こすための具体的なヒントが書いてあります。
・全員に好かれようとすることは、本当の友達をつくらない、むしろ失うこと
・ナルシシズムのために人を利用としようとする人とすぐに付き合いをやめること など
この考え方は、私が師事し、練習している「皆が安心して本音を話せる、参加型の学びの場づくり」の真髄である四相の実践(4 fold practice)、その最初の一歩である「自分をホストする(host yourself)」に、私の理解によると、かなり近いです。
この本のタイトルも「The Art of Living」ですしね。アートなんです。
社会を誠実に、やさしいものに変えたいと思うなら、参考になるのではないでしょうか。
これは引用しておきますね。
自分を大切にしている人には、自分を大切にしている人が引き寄せられます。
ちなみに、おそらく安冨さんと、私は、色々なところで、似ています。くつしたを脱ぎっぱなし、丹念に準備したものを玄関に置いて出かける、集中すると人の話が聴こえなくなる。気が弱くウジウジしている。極めて似た経験をしていて、似た苦しみを味わい、解決に向けた考え方も似ていると感じます。
なので、この本は、わたしの取扱説明書として採用しよう!
その特殊性を除いても、多くの人にとって価値がある内容だと思います。
私たちが、本音で生きられる社会に近づきますように。
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