反町、公務員やめてホストになるってよ。

ご報告。私は2019年1月31日をもって群馬県を退職しました。私の活動のテーマは「共存」「ペイフォワード」「地域」です。


「いつかだれかが」ではなく「今あなたと私で」


おたがいさまとおもいやりの循環

を実感できる顔が見えるローカル

もし私たちが、花とハチのように、それぞれが好き放題やりながらも、お互いが近くにいないと生きていけないほどに助け合って、共に生きられる社会になれたならば。

短い視野での見返りを求めずに、ギブアンドギブ(恩送り)の精神で、おもいやりが循環し、そして、それが手触り感をもって実感できるような顔の見える関係になれたならば。


きっと、そこでの私たちの日々の暮らしは、ありのままの個性が肯定される解放感、一緒にいられて安心できるつながり、常に新しいものが生まれるスリリングな予感が漂っています。

さあ、カラフルでやさしい世界に耳を澄ませよう!


■「本音でたいせつなことを話す場づくり」を群馬ローカルの文化にしたい


ずいぶんと「対話の場」をやってきました。それは「変化を起こすための話しあい」です。
多様な方が参加し、自分たちの課題や目指したい未来について語る場です。私の場合は、市民活動の立ち上げや、組織内での自発的なネットワークづくり、商店街の活性化や、若者と企業人との交流会、地域ぐるみの名物おみやげの開発、住民と行政の協働を学ぶの旅のガイドなど。

この4年間で、多いときは150名以上の方が参加する場を200本近くやってきた中で、思い至ったのは、参加できる余白があることは、本当に豊かなことだということです。

私は対話の場の中で、感動するような出来事を何度も目撃してきました。人と人が自発的に、深いところでつながり、枠組みを超えた変化を生み出すこと。ひとりでは圧倒的で無力感しか感じられない状況の中で、知恵を持ち寄り希望を見いだすこと。排除されていた人があたたかい人間関係の中に包まれるということ。フタをしていた魂が息を吹き返すような瞬間。「ああ、これは、人生をかける価値がある、本当に意味のある仕事だ」と、思いました。


また、私が本当にすてきだと思える対話の場に大切なのは「ホスト」であり「参加型リーダーシップ」なのだということが年々腑に落ちています。これはまだ世間的に一般的とはいえない言葉ですが、その中には「1人のボスやヒーローにまかせておかないで、私たちひとりひとりが参加して望む変化を一緒に手づくりしていこうよ!」という、マジなメッセージが込められています。



■複雑で、不確実な時代

希望ある未来、自分らしくいられる居場所ワクワクドキドキする毎日を過ごしていますか?

色々なところで言われていますが、今の社会って、行き先がわからず不安になりやすい状況にあるようなんです。

不信感:ITの発達で情報が多すぎて、何を信じていいやら。

分断:グローバルにつながっているのに、隣人の顔がみえない。

複雑:環境問題 社会格差・・因果関係が見えづらい

めまぐるしい変化:昨日のあたりまえは、今日の非常識。明日はどうなる?

モデルの喪失:みんなが同じようにモノを大量に消費しても、幸せ?

国もそのような時代だと言い始めています。
「不安な個人、立ちすくむ国家」(http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf)

■ボスやヒーローまかせだと困るワケ

私たちが困っている時にキラーンとスーパースターが登場します。

頼れるボスが「あっちだ!あっちにすすめ!」
かっこいいヒーローが「みんな、僕に任せて!」
それを繰り返した先にあるのは、どのような社会でしょうか。

・ヒーロー待ちの社会

「早くなんとかしてもらわないと困ります。」(依存)

「私には関係ありません。」(無関心)

「どうせ私じゃ無理なんでー」(無力感)

これまでの時代のように、決まった答えがある時や問題がシンプルな時は「誰かに答えを教えてもらう」「正しいやり方を指示をする」のは合理的です。また、ヒーロー的な関わり方は、夢を見させてくれるので、もちろんあってもよいです。

しかし、そればかりだと、長い目で見た時に、困ったことになります。決まった答えのない複雑な課題について皆の知恵を持ち寄りたいときの助け合える人々のつながりや、個々の力を奪っていくことにもなりかねないのです。


・他人ごとの社会

私たちは、どこかの誰かが知らないうちに行ったことに対しては、自分に関係があることと思えません。つまり、ものごとや人が「他人ごと」になると、途端に、つめたい・ひどいことができてしまいます。後任者が困りそうな雑な仕事や、ゴミを分別せずに捨ててしまうこと。道端で寝ている家なき人たちを蔑むような目で見ること。人の家の庭に放射性物質を置いたり、美しいサンゴの海を埋め立てることすらも。依存と無関心は連鎖し、良心を麻痺させ、犯人のいない大きな暴力を生むことがあります。私はこれらを見てみぬふりをできるほどに、心が頑丈にできていません。

■自分ごとにするためにはプロセスへの参加が必要


私たちが、ヒーロー任せにせず、その場所や関係を「自分のもの」として、より大切にしやすくするためにはどうしたらいいでのしょうか?


私たち何かを決める・つくる過程に参加して、「自ら望んで、関わって、貢献したのだ」という実感を得ることだと、私は考えています。

自治体が知らぬ間に立てた金ピカの建物よりも、自分たちが協力して手を加えた古民家。一部の人たちがやらされ感たっぷりにやっている行事よりも、地元の飲み仲間が手づくりしたビアフェス。勝手にごみを持ち帰り、花を植え、好きな音楽をかけたりなど、それをより心地よいものにするために、それぞれが自発的に貢献することが増えていきます。

■みなが参加できる「スペース」をつくろう

「じゃ参加しましょう」と言って、すぐできたらいいのですが、私が知る限りは、そう簡単にはいきません。参加のためには、そのための余白が必要です。


では、余白とはなんでしょうか。もしそれがハードや制度の整備でできるなら、もうとっくにできているはずです。公民館や会議室、補助金はたくさんあるので。


■スペースをつくるのはハコモノや制度ではなく、ひと(=ホスト)

私が、素敵なスペースだと思うのは、ホームパーティのように、みながありのままの自然体で安心していられて、自由につながれる余白、ひかられた場です。そんなの中でこそ、私たちは、本心から湧き出るような、本当に大切なお話ができます。もしそれが普段は、タブーや話しづらいことであっても。そこではじめて、本当に意味のある変化が起き始めます。


そのような場をつくるのは、「ホスト」という、人のスキルだと、4年ほど前に知りました。それは、歌舞伎町の、じゃないんです。


そのはたらきとは、たとえばこうです。

・ひとりひとりの個性を尊重し、ありのままの自然体で迎え入れるために、自他の「人としての器」を育む。

・答えを示すのではなく、人と人が共存共栄できるような関わり方と、心のあり方、ものの見方は何だろうかと、皆に問いかけることで共に探っていく。

・1人では解決できそうもない複雑な課題に対して、皆の視点と知恵を持ち寄り、ともに試行錯誤をするよう呼びかける。

一人ひとりが自分の意思で出番と役割を持つことができるよう働きかけをする(出番と役割を与えるものではないと言うのがポイントです)


これらを通じて、民主的に変化をおこすプロセスを支えます。このような技のことを、ホスティングと呼ぶことも知りました。茶道や武道、マーシャルアーツと同じように、ホスティング道(ホスティングのアート)があると。


■2014年2月関東地方の豪雪の日のこと

思い起こせば、2014年2月に、関東地方で観測史上最深の雪が降ったときに、私はホストを目撃しました。私は仕事でいくつかの現場を手伝いに行きました。ある現場では人に指示命令するボス、自己犠牲を厭わずにがんばるヒーローがいました。みなが楽しそうだったかといわれると疑問ですが、作業として終わることにはそれで終わりました。

一方で、別の現場は、もっと複雑でした。昨日をかいた雪のあとが凍って今日はアイスバーンになったり、物理的な制約で歩道と車道のどちらかを犠牲にしなくてはいけなくなったり、それ以外の業務も多忙であったりと、「あっちを立たせるとこっちが立たない」「決まった答えがない」という状況でした。

そこには、ある聡明な女性が2人いました。彼女たちは「みんな、どうやってやったらいいか一緒に考えない?」と呼びかけました。全員ではありませんが、それに応じた人による話し合いが生まれ、ざっくりした計画と、基本的なルールだけが決まりました。自分なりのやり方で貢献する。わざわざ一斉に休憩時間とはせず、みんな代わりがわりで休憩する。「雪かきしない人は、だめ」は言わないことにする。お菓子は用意しといたんでどーぞ。

そして、作業が始まると、マッチョな兄さんが「ここは俺に任せろ!」と言わんばかりに、硬い金属のスコップでアイスバーンを壊しますが、そのままリーダーには居座りません。そのスコップも兄さんも、砕いた雪を運ぶのにはどうも向いていないからです。そこで、別の頼りになるお姉さんたちが一歩前に出て、プラスチック製の軽い幅広のスコップでそれらをどかしていきます。疲れたときは、世話好きのおばさんがお茶を入れてくれます。

途中で、「ちょっと、あんた誰に許可とってやってんのよ!」と、文句を言う人が外からきました。その時は、体は弱いですが、消防なんとか規則について詳しい人の登場です。結局、雪かきをしなかった人もいますが、そうぜざるを得ないほどの別の作業がありました。彼を無理やり雪かきに出したとしたら、その損失は大きかったでしょう。最後は、やっぱり宴会部長もいます。人々の協力プレーを労って、お祝いする技があるのです。


それぞれのメンバーは、誰から言われるでもなく勝手につながっていきました(自己組織化)

また、コミュニティとして出した力は、個々の単純な足し算を超えていました。「1+1=2+α」のアルファがずいぶんと大きかったということです。これを創発というそうです。

(かっこいい言葉ですけど、私には酵母と麦とポップを混ぜたら、ビールになるとの一緒に聞こえます。出来上がったビールから、もしどの素材にもない甘美な香りが出たら、それは化学反応によって新たに出現したプラスαですよね。)


■ホストが増えれば、参加型リーダーシップはより発揮されやすい

私が雪かきの時に見た登場人物は、みながそれぞれのやり方でリーダーシップを発揮しています。休憩をするときにお茶を出す人は、皆を癒すという目的に貢献する、その時のリーダーなのです。複雑に状況が刻々と変わりゆく中で、「私が、これをするよん」と名乗り出て、それぞれが、その時に応じて入れ替わりながらリーダーとなり、自分らしく貢献をできるコミュニティ。こういった状態にあるコミュニティのことを「参加型リーダーシップが発揮されている」といいます。

そのように参加型リーダーシップが機能するための器をつくるのがホストです。「みんなで考えてみない?」と呼びかけをして、話し合いの場に招き入れます。


私の意見として明確にしたいのは、ホストは全員がなることができるということです。ボスやヒーローのように特定の誰かが持つ役割ではなく、みなが持ちうる機能なのです。それゆえ、私たちは、お互いをホストしあうことができれば、みなで器になることで、さらに個性が活かされやすく、互いに積極的な貢献をしやすいコミュニティになれます。

また、ホストの仕方も人それぞれです。「で結局したいの?したくないの?」と積極的につんつんする人もいれば、私のように「うん。大丈夫だよ。ゆっくりね」と受容的なスタイルの人もいて、補い合うことで機能します。おわりなき、ホスティング道。


■参加型リーダーシップを地域の中ではぐくみたい

たぶん、上で述べてきたような関わり方は、これまで私が見逃していただけで、世の中、特に地域の中に既にたくさんあるのかもしれません。私は経験していないですが、かつて日本には「向こう三軒両隣」「おたがいさま」があったと聞いていますから、ある意味ではそれは、もともとあったのに、失われてしまった文化なのかもしれません。

ただ、古き良き時代そのままではなく、私は明確に「個を大切にする」という考えです。「わたしはわたしらしく、あなたはあなたらしく、違いをパワーに」です。

群馬を掘り下げつつ、できれば全国各地も旅したいな。そうしたら「群馬版のホスティング道」が見えてくるかなあ。きっとそれは、大阪版やカルフォルニア版のそれとは違いますよね。

ちなみに、私にとっては、ローカルの現場でのチャレンジが、最大の学びとモチベーションの源泉ですが、それと同じくらいに尊敬しているつながりが実践のコミュニティであるアートオブホスティング(Art of Hosting and Harvesting Conversations and Work that Matter。通称、AoH)で、私はそこでハリーポッターよろしく、ホストの見習い生をしています。AoHは、世界各地の現場で、参加型リーダーシップを活かして変化を生み出してきた人たちが、やってみて、ふりかえって出てきた実践知を共有する世界的なコミュニティです。日本や世界の各地で実践されています。どなたでも参加できます。
ホストとかスペースとか、おもしろい言葉使いはここで学びました。そこで学んだことで、私が伝えられる知識や実践もありますので、ぜひ学び合いをしたいです。

■お会いできるのを楽しみにしています!


「ひとりひとりが大切なことを大切にしつつ
一緒に暮らしたり働いたりできるように、
本当に大切なことについて
腹を割って話せる場をつくろうよ!」

欲しいものは自分たちで想像して、
一緒に手づくりしようよ」

そんな言葉があたりまえに飛び交うことが、地域の文化として育ったなら。そこにはどんな光景が広がっているでしょうか。どんな気分で、私たちは日々を生きているのでしょうか。

私は、今は、政治よりは草の根を行きます。変え方を、変えたいからです。つまり、権力を持たなくては、変えることができないという思い込みを、超えていきたいです。むしろ、既に十分に、私たちには助け合う力があるのだから、それを解き放つための余白をつくることを優先します。

もし私の言っていることに共感していただいた方は、応援してくださると嬉しいです。お仕事の相談やご依頼もお待ちしています。
それを待たずに、これからさまざまなことを、お呼びかけていきまーす!いろーんな場所にも出かけていきますね。おたのしみに🌱

今後とも、反町キョウイチロウをよろしくおねがいします。

まだ語られていない物語は何ですか

ご覧いただきありがとうございます。反町キヲイチロウのブログです。群馬ローカルのママチャリで行ける範囲で、参加型の場づくりを練習しています。

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