自治体職員だった私がArt of Hosting Nagara に初参加する前に知れたらよかった10個のこと【前編】

最近私がお誘いしているアートオブホスティングって「なんだか気になるけど、正直なんなのかわからない」と言う声をききます。特に、自治体職員の仲間たちから。

私が初めて参加したのは2015年で、その時わたしは自治体職員でした。はっきりいって、よくわからなかったけれど、人に背中を押されて「えいやあ」で行きました。決死の覚悟…(笑)

でも、予め知っていたらもっと安心して参加できたはずの10個のことを書いてみました。あくまで私の理解であることを、お含みおきください。

アートオブホスティングって、私にとってはこうです。
私たちの未来を、一部のボスやヒーローにまかせておかないで、私たちひとりひとりがリーダーシップを持って参加し、望む変化をおこす力をつけるための道場

特に、目まぐるしく変化し、先が読めない時代。地図が意味を失い、道なき道をいかねばならぬ状況で、誰も置いていかずに、共に進んでいくために。

1. なにするのかわからないんだけど?

目に見えることでいうと、ワールドカフェみたいな話し合いの手法をいろいろ使って、みなで対話&ふりかえりをします。3泊4日の合宿です。

2. どうやって生まれたの?

トゥークさんとモニカさんという創始者がいます。
OST(オープンスペーステクノロジー)から生まれたそうです。OSTとは、「参加者が議論したい課題を自ら提案し、自主的に話し合いを行う手法」です。
創設者たちが、OSTをやって、ふりかえった結果、意味ある変化を起こすのは、今の「アートオブホスティング」のような構成に思ってきたと。(詳しくはこちら:(http://aohj.vision)

日本ではやる人がまだ少ないので年1,2回ですが、海外では、特に民主主義が進んだ国では、どんどんいろんな人がやってるみたいです。日本もそうなるといいな。

3. 誰がやってるの?あやしくない?

今回のトレーニングの運営は、北海道に拠点を置く「一般社団法人サスティナビリティ・ダイアログ」です。私もその一員として活動することがあります。自治体文脈でいうと、対話と協働の先進地・静岡県牧之原市の活動とも深く関わりがある方々です。
ただし、これには語弊があって、運営は、その団体の方を含む「有志」です。つまり、毎回、異なるメンバーが様々なチームを組んで、企画と運営にあたります。私は去年、今年と、企画チームです。
また、今年のトレーニングは、『対話型組織開発』の13章を書いたクリス・コリガンさんが来てくれますよ。その道では尊敬を集める方です。ワンピースで言えば、「赤髪のシャンクス」並の人なのかしら。(クリスご本人はヒゲメガネ)

4. つまり、ワークショップなのね?

私によると、アートオブホスティングという言葉は、特定のワークショップのことを指すことが多いです。  しかし、それだけでは誤解があります。茶道を単なるイベントと思ってしまうのと同じくらい残念なのです。それは「道」です。いわば、「ホスティング道」。そこには哲学があり、仕事の現場で生きる知恵、暮らしの中でつかえるさまざまな実践が詰まっています。

この話をすると、多くのハテナが人々から浮かんでくるので(それが好きなのですが)、ここでは、あえて平たく言うと「アートオブホスティングとは、望む変化を起こすための話し合いの仕方が詰まった道具箱」です。
その中には、世界の各地で、対話と協働によって変化を起こそうとする人たちが、「やってみてふりかえることで生まれた知恵(=実践知)…理論や方法論、ツールなどがそのコミュニティの中で共有され、詰まっています。そして、そこには誰もがアクセスできます。

私は、多くの知恵をその道具箱から持ち出します。それを、自分の現場に合わせて、少しづつ改変して使っています。それをまた、みんなの道具箱のほうにもっていくわけです。「ねえこんな風に使ってみたら、こうなったよー」と。
そんなことを、世界中の皆がするものですから、その道具箱の中身は、常に変化を続けています。
2018 静岡県牧之原市でのアートオブホスティングの様子

5. どう使えるの?

アートオブホスティングに蓄積されてきた知恵の多くは、「マジで現実を変える力」になります。それはさきほど言ったように、マジで現実を変えてきた人たちから生まれた実践知だからです。


また、様々な活動に応用可能です。なぜならそれらは、メタ知識だからです。メタ知識とは「知識を生み出すための知識」です。

たとえば「本の内容」は知識ですが、「自分に合った本の読み方」は、メタ知識です。それは完成することがなく、つまるところ一人一人自分のやり方で磨き続けなければならない知識です。


それがあるからこそ、本をよりよく読めるようになるわけです。


スポーツでいえば、「サッカーのルール」は知識ですが、「ルールのつくり方」は、メタ知識です。呼吸の仕方や、人へのパスを出したいときの目線の送り方、話の聞き方など。メタ知識があれば、サッカーでも、バスケでも、様々な場面、あらたな技を生み出していけますよね。


同じように、アートオブホスティングのメタ知識は、ワールドカフェ、コーチングカード、SDGsのゲーム、SIMなどの参加型のアプリケーションをより効果的に運用するための、OSとして使えます。すると、「いい勉強になりました」にとどまらない成果につながるはずです。

ちなみに、知識がアプリケーションで、メタ知識がOSのようにも思えます。
OSはほんとうに大切です。わたしは公務員の自主勉強会をふりかえって反省していることがあります。「アプリケーションが動かないのは、OSが古かったから」と、今になって気づくことが多いのです。

たくさんのお勉強会や交流会を行いましたが、どれも「この活動をやっていけば、マジで現実を変えられる」という実感に欠けていました。

どんな新しい対話手法やゲームと言うアプリケーションを使っても、OSが変わらないなら、そこで生まれる関係や知識は、ヒエラルキーがあることを前提につくられますので、ヒエラルキーを突破できません。
しまいには、役所の外の自主的なネットワーク活動の中で、ヒエラルキーが再現されてしまったりするわけです。そうすると、何かを変えるためには、結局、「偉くなるまで待て」とか「いつか希望の部署に行く」という我慢コースを選ばざるをえません。

つまり、私は、「変え方」を変えられなかったのです。メタ知識がなかったから。

アートオブホスティングは、「変え方を学ぶ」「変え方を変える」力を身につけるための場所ともいえます。


➡︎後半につづく。

まだ語られていない物語は何ですか

ご覧いただきありがとうございます。反町キヲイチロウのブログです。群馬ローカルのママチャリで行ける範囲で、参加型の場づくりを練習しています。

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