「対話の場づくり」活動ってなに?(2017.11.3”やさしくはじめる 協働のための対話の講座”を例に)

今回はわたしが普段行なっている活動を紹介します。私の専門性を活かして行なっている社会貢献活動です。

「対話の場づくり」

といって、平たく言えば

人と人が本音で、本当に大切な話をする支援

です。利害関係者どうしの相互理解を深め、チームとしてのパフォーマンスの質を高めることができます。

私は大学で「人間の会話のなりたち」の研究を専攻するなど、そもそも異なるもの同士のコミュニケーションに興味があったのですが、その後、社会人になってから、必要性と好奇心から、改めて学び直して練習しているものです。

さて、少し前のことになるのですが、11月3日に、「やさしくはじめる 協働のための対話の講座」という1日(13:00〜19:00)かけてのイベント(研修)を、高崎市の少林山達磨寺でやりました。

達磨のふるさとです。 

今回の目的は「指示命令をしなくても、人が自発的に、協力して動きたくなるような働きかけの仕方を学ぶこと」です。


準備期間は、3ヶ月ほどでしょうか。任意のあつまりを「主催者のチーム」にするところからはじめます。
・何を目的として、いつまでに、どのような変化を生みたいか
・そのために、誰を呼んで、どのような話をする必要があるか
ということをじっくりと練り上げます。

そして、その主催者が、お招きする必要がある利害関係にお呼びかけをして、日どりを決めて、この当日を迎えます。
(今回は、たまたま、私もその主催者のひとりで、また、一般の参加 もOKな、公開型研修となりました)

そのために、内容は「パワフルな問いかけ」と「OST」という手法を軸とした構成になりました。こんな流れです。
・前半は、参加者ひとりひとりが、自分にとって大切なテーマについての問題設定を磨き上げる。
・後半は、その問題について実際に話し合ってみる。

さて、以下は当日の模様です。まずは準備から。
今回は、禅寺を会場に選びました。

この場所の「青年の修養」と「文化の融合」に関するストーリーが、今回の取組の趣旨と合致したので、参加者がその力を借りられるといいなと思いました。

当日はとても陽気がよかったです。鳥の鳴き声、木々のざわめき。全ての窓を解放して、自然から学ぼう、というのも、場からのメッセージですね。
おかげさまで、みんなも朗らかな表情で来てくれました。全員で30名弱です。

ゆっくりとはじまります。

今回の目的、全体の流れを説明します。
その後、副住職のいっしんさんから、この場所のストーリーを語ってもらいました。そのポジティブな影響は終わりまでずっと続いた感じがします。
その後は、こんな感じで展開します。

前半。まず基本的なレクチャーです。
そして、参加型の講習。「パワフルな問いかけ」を互いに見せ合って、フィードバックをしあいます。まずはデモです。
今度は実際に、皆でやります。自分にとって「パワフルな問い」を見つけます。脳が喜んで、つい好奇心で、心がいっぱいになってしまうような問いです。そして、それを聴いた人が、一緒に考えたくなってしまうような問いです。
後半。「自分の問いについて、さらなる情熱と責任を持って考えるため、皆の知恵を借りたい」という方に、名乗り出ていただきます。
けっこう抽象度の高い問いで、一見すると「?」かもしれませんが、どれも参加者の仕事、暮らし、生き方 ー「あり方」ーに、深く結びついた問いでした。

その後、その方々がグループを自らつくって話し合います。
グループごとの話し合いが終わったら、また全体で大きな輪になります。
グループごとに生まれたものを全体で共有して、大きな収穫をお祝いします。

最後に、ひとり一言を言っておしまいです。

【収穫物】 
今回の収穫物はこちらです。話して終わりではなく、次のアクションを生むために、見える形にすることが大切です。(今回については、機密事項などはなく、社会に開かれた学びなので、こうして公開して共有することとしています)


【成果】
これらを通じて今回生まれた主な成果(アウトカム)を、強いてまとめるとすれば以下です。 

■集合知
私にとって、こういった場の最も面白いところのひとつは、大きな「集合的知性」が、個々の知性を超えたところから現れることです。平たく言えば、一人では思いもつかなかったアイデアが生まれるということです。

■集合知を生む練習
この会の時間の中で、新しいアイデアやアクションが生まれなくとも、対話の場の経験によって、皆でよりよい歩みを生むためのやり方・あり方を練習することができます。構成員・利害関係者どうしの相互理解が進むので、「組織やチームの風通しがよくなる」とも言えるかもしれません。必要に応じて、繰り返し実施することで効果が高まります。

■自発的なアクション
「私」だけでなく「私たち」の問題への当事者意識が高まることによって、参加者同士の自発的なコラボ企画がうまれています。

これらを支えているのは、この場で生まれた「本音のつながり」です。当日は、涙する方も少なからずいらっしゃっいました。感情が豊かに共有されていて、つまり、ポジショントークではなく、素の人間として本音で語っているのです。

上記を踏まえて、改めて「対話の場」では、なにが起きているのかと聞かれれば、こう言うかもしれません。

「共に創るための、関係のつなぎ直し」

つまり、『外部からの期待や役割上すべきことではなく、その人の内部から来る、本当の好奇心から、本当に価値があると思うものを、一緒につくりたくなる状態へと、利害関係者どうしの関係性をつなぎ直している』
「つなぎ直す」 とは、形・ポジション・べき論・義務感ではなく、意味・想い・したい・意思で繋がるということです。平たくいうと、「組織やコミュニティの活性化」などとも言えるかもしれません。

また、一見、逆説的にはなりますが、対話の場は、「その人が個人として自立すること」「自分らしさを大切にすること」も支援しています。集合的な新しい知性は、「他花受粉(異なる種の掛け合わせ)」から生まれますので、その個々の構成員は、それぞれが多様で、異質であることが求められるからです。

 こういった活動は、今はまだ私の近所、群馬県でまだまだ認知度も低いようです。しかし、今後の社会 、めまぐるしく変化して、複雑かつ不確実な状況の中で、限られた資源から、皆にとってよりよい成果を生むことが求められる中で、私はさらに必要になってくるものであると信じています。

また、そのようなことができる人が、近所に増えていくことを望んでいます。「近所」と言うのが大切です。私たちにとってのローカルな問題に対しては、私たちにとってのローカルな解決策を、自ら考えていく必要があるからです。

私は、こういった活動によって生まれる関係のあり方を、”未来の当たり前”にしたいと考えています。


もしご興味を持っていただければ、どこでも駆けつけますので、お声かけいただければ嬉しいです。ここまで、お付き合いいただき、ありがとうございました😊

まだ語られていない物語は何ですか

ご覧いただきありがとうございます。反町キヲイチロウのブログです。群馬ローカルのママチャリで行ける範囲で、参加型の場づくりを練習しています。

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